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2018-12-17(Mon)

【堤 未果】日本が売られる【一部紹介:水道民営化】

私は安倍内閣が大嫌いです。
自民党が嫌いです。
しかしそれ以上に野党の方がもっと嫌いです。
選挙は糞尿にまみれたゴミの中から、少しでも使えそうな、少しでも臭いが薄そうなゴミを探し出す作業になっているように思えます。
しかし何を選んでもしょせんゴミはゴミなのです。
基本的に使えません。

野党の中でも特にダメなのが旧民主党の連中です。
自民党のダメっぷりに呆れた国民が自民党にお灸をすえてやろうと考え、民主党に投票したっぽい結果、民主党は政権を取りました。
しかし、民主党の連中は日本を潰しにかかったのです。
今安倍内閣が進めている売国政策の基本は民主党政権時代にすでに動き始めています。
消費税増税も、TPPも。
TPPに関して言えば参加意思を表明したのは安倍政権ですが、TPPの交渉内容が非公開だった為、参加しないと内容が判らないじゃないか、と参加の方向で検討を始めたのは民主党政権です。

その昔、小泉純一郎という売国奴がいました。
この男は「自民党をぶっ壊す」と言って絶大な人気を博しました。
しかしその実態は「日本をぶっ壊す」ことでした。
守銭奴竹中平蔵と手を組み、日本を海外資本や投資ファンドに売り飛ばし、「今だけ金だけ自分だけ」良ければそれで良いと考える経営者たちのための改革を行いました。
それらを称して「規制緩和」と言います。

野盗野党やマスコミが叩いている片山さつきは過去にこう言っています。
国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です。
国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文にしました!

これが売国奴集団自民党の基本的な考え方です。

「自己責任」と言う言葉があります。
「無償の愛」と言う言葉があります。
これらの言葉を都合よく利用して、国の責任を個人に転嫁して背負わせようとしているのが自民党なのです。
保守だから家族の形を大事にしているわけではないのです。
「家族」を理由に責任を押し付けたいのです。
その為には家族という形が壊れては困るのです。
家族に多様性はいらない。
家族は無償の愛でまとまっていなければ困る。
そうしないと社会保障費を個人に転嫁できない。
と自民党は考えているのです。

「障害」「痴呆」「高齢」「介護」など。
全て「無償の愛」という言葉で家族に押し付けようとしています。
そうすれば浮いた社会保障費でアメリカ様の兵器が買えます。
トランプ様に喜んでもらえるのです。

自民党にこの国を守る気など全くないのです。
自分たちさえ儲かればそれでいい。
お金をくれる経営者様だけが儲かればいい。
それがお友達優遇内閣である安倍内閣の実態です。
しかし、それ以上にぼんくらなのが野党の連中です。
安倍辞めろ!〇〇辞任しろ!しか言わないですからね。
挙句の果ては政策については審議拒否ってああた、それでも政治家ですか。
間抜けな野党の大半は、政治家としてお金が貰えればいいと考えているだけの無能集団です。
収入源の確保として政治家をやっているだけで、政治家として何かをやりたいと考えているわけではありません。
だから〇〇辞めろ!辞任しろ!しか言えないのです。
政策論争が出来るような人がいないのです。
挙句の果ては国籍さえ不明な人がいたりします。
そういう意味では「戦争をしたい」「日本を投資ファンドや海外資本に売り飛ばしたい」「オトモダチの経営者様のために働きたい」「オトモダチ経営者様のために奴隷を集めたい」と考えている安倍晋三の方がまだ目的意識があるだけましなのかもしれません。
その目的が国民にとって適切かどうかは別として。

この国。
まず国土。
日本の国土は美しいと思います。
田園風景を日本の原風景ととらえる人は多いはず。
見知らぬ土地の風景であっても懐かしさを覚えてしまう人もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし随分と前からこの国は、この国の土地は海外資本に売られ続けています。
特に水源を買っている企業の大半が中国系です。
「今だけ金だけ自分だけ」と考える人が水源地や山を相続しても固定資産税が無駄だと考えます。
当然売り飛ばします。
これらの水源地や山を国が、国と国民の安全を担保するために買い上げればいいのですが、安倍内閣はアメリカの戦闘機は買っても「美しの国」の国土を守る気は全くありません。
林野庁のHP(http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/170428.html)に平成28年度1月~12月の間に森林法に基づく届け出があった、居住地が海外にある外国資本による森林買収についての報告が載っています。
1年間で29件、202haが海外資本に買われています。←企業及び個人。
でもこれは報告が上がっている分だけです。
帰化した中国人やダミーの日本企業が買えば報告上ではわかりません。
その他事例として「国内の外資系企業と思われる者による森林の取得」として各都道府県から報告があったものが19件575haとでています。
202ha+575ha=777ha
東京ドーム165個分の森林が外国資本に渡っていることになります。
あくまでも届け出上で判明している外国資本(居住地が海外のもの)とたぶん国内の外国資本と思われている分の合計でしかありませんが。

野党がモリカケ問題や桜田大臣の答弁が頓珍漢だ、桜田辞めろ!を連呼している中で「水道法改正案」はロクに審議もされず、衆議院を通過し、先日参議院で成立してしまいました。

「日本が売られる」の中では色々な問題が書かれています。
その中で最初に出てくるのがこの「水道民営化」の問題です。
野党やデモ大好き人間たちは単に「安倍辞めろ!」を連呼しているだけです。
マスコミも「水道民営化」に関して法案が成立するまで無言でした。
なぜきちんと議論されないのでしょうか?
安倍辞めろ!とデモをする暇があったら、こうした問題についてなぜ世間にアピールしないのでしょうか?

問題の根幹は「新自由主義」と言う言葉に集約されます。
いわゆる「小さな政府」と言われる考え方です。
代表的な言葉として「規制緩和」「福祉削減」「緊縮財政」「自己責任」といったのもがよく出てきます。
国家予算が肥大化し赤字が続く中で国債を発行し続ける日本。
国家の縛りを無くし(規制緩和)、自由競争によって富を増やそうと考えたのです。

ここにくっつくのが「新保守主義」と呼ばれるものです。
家族の価値のような保守的道徳観の復活や治安の強化。
声を上げないマイノリティの権利の削減。←声の大きな性的マイノリティ(同性愛など)の権利は削減しませんが、それをマイノリティの権利も守っているよ、と隠れ蓑にして、声の小さな「障害者」や叩かれやすい「生活保護受給者」などの権利は削減されます。
更には、排他的ナショナリズムといった強い国家の再編成などが促進される傾向にあります。
そして富は富める者へ。
貧困者は更に貧困に。
と格差社会が広がります。
こうして富が寡占されていく中で、富める企業はますます発言権を強くしていきます。

もっと規制を緩和しろ!
福祉は儲かるからやらせろ!
刑務所も儲かるからやらせろ!
学校教育も儲かるからやらせろ!
いやいやもっと大きな市場があるじゃないか。
日本の皆保険だ。
そんなものは廃止して全部生命保険会社に任せろ!

こうした考え方に基づいてアメリカでは入院数日でウン百万円などという世界が出来上がりました。
過去にも盲腸(入院1泊)で請求が500万円超なんていう話もあったりします。
最近でも200万円かかった、という話を見た記憶があります。
TPPなどによって日本は世界中の国々から優良市場の開放を求められます。
最終的には警察の民営化まで行くかもしれません。
犯罪から守ってほしければ金を払え!というヤクザまがいの警察が闊歩する日がくるかも、なのです。

そして今、巨大優良市場である水道が狙われています。
「日本が売られる」の中で著者である堤未果氏はこう書いています。

公営から企業運営になった途端、水は「値札のついた商品」になる。

と。
そして利益確保のためにどれほど貪欲な行為をしてきたかが書かれています。

採算が取れない貧困地区の水道管工事は一切行われず、月収の4分の1にもなる水道料金を払えない住民が井戸を掘ると、「水源が同じだから勝手にとるな」と、ベクテル社が井戸使用料を請求してくる。
困った住人が水を求めて公園に行くと、先回りしたベクテル社が水飲み場の蛇口を使用禁止にし、最終手段で彼らがバケツに雨水を溜めると、今度は一杯ごとに数セント(数円)徴収するという徹底ぶりだった。


凄い話ですね。
ここまでやっても許される、と判断したら徹底的にやるのが企業です。

国際通貨基金(IMF)や国際金融機関によって「水道」の民営化が融資条件にされているそうです。
彼らは「水道」だけではなく「医療」「農業」「教育」の民営化も世界各国に広げるべく尽力しているらしいのです。

世界各国が水道の民営化に失敗し(料金の高騰や水質の悪化など)再公営化をしている中、日本だけは時代に逆行し民営化を推進しています。
「日本が売られる」の中で、私の出身地である松山市も浄水場運営権をフランスのヴェオリア社の日本法人が手に入れた、と書かれていました。
今も松山市には両親が住んでいますが、特に何も話を聞いていなかったので少し驚きました。
外国資本が入ってきても料金は上がらないという人もいます。
それはデマだとまでいう人がいます。
確かに南米やアフリカみたいな無茶はやりづらいかもしれません。
それについ先日まではまだ法案が可決していなかったのです。
加えて手に入れているのは浄水場の運営権だけです。
まぁ、やろうと思えば運営するのにお金が足りない、と言って水道料金の値上げを要求することもできますが、それをやるには時期尚早です。
今回可決された法案には民営化を促進するためにいくつかの条件を組み込んであります。
それは議会の承認なく民営化でき、メリットとして企業に運営権を売り飛ばした自治体は地方債の一括繰り上げ返済の際、利息が最大全額免除になる、といった点です。
このことによって民営化が促進すれば、もしかすると松山市も水道の運営全てをヴェオリア社に任せるようになるかもしれません。
1社が独占できるのが他事業との違いです。
しかも原価総括方式。←電気料金・ガス料金と同じで役員報酬(人件費)から利益まですべて原価に組み込んだ上で水道料金を設定できるのです。

「やって駄目なら戻せばいい」と言う人もいます。
しかし今回の改正で「長期契約」が可能になったのです。
過去ドイツのベルリン市では30年間に渡って受託企業の利益が確保される契約になっていたため、再公営化のために企業から権利を買い戻すのに13億ユーロ(1690億円)もかかりました。
企業は当然得るべきはずの利益も損害金として請求してきます。
圧倒的に企業が儲かるだけの仕組みで考えられた民営化法案なのです。
損をするのは自治体ではありません。
住民です。
こうした買戻し費用は全ては税金で賄われるからです。

7月に法案が衆議院を通過した時、マスコミが騒いだのはオウム死刑囚の死刑実行でした。
陰謀論が大好きな私は法案隠しのための死刑かと疑ってみたりします。

こうして水道だけではなく国土も農業も国民の命も、すべてが売られてゆくのです。
今後日本には放射能汚染された土がばら撒かれることでしょう。

何が起こっているのか興味のある方はご一読を。

【堤 未果 著】

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2018-11-23(Fri)

【誉田哲也】ルージュ 硝子の太陽【姫川玲子シリーズ】



読む順番が逆になってしまったようです。



2016/5/10発売
発売は知っていましたが「姫川玲子シリーズ」とは思っていませんでした。



ブルーマーダー(私が所有しているのは単行本版)の後に買ったのが、



ノーマンズランドでした。
ノーマンズランドは拉致被害を題材にした作品で、ずいぶんと政治的な見解を書き込んでいるな、と思ったのですが、その傾向はこの「ルージュ 硝子の太陽」から始まっていたようです。

日米地位協定。
この不平等な協定のために日本国内にありながら、警察は米軍に所属する人間の犯罪を裁くことどころか、場合によっては捜査すら十分にできないのです。
良く知られた事件で私が思い出すのは、「沖縄米兵少女暴行事件」です。

1995年(平成7年)9月4日に沖縄県に駐留するアメリカ海兵隊員2名とアメリカ海軍軍人1名の計3名が、12歳の女子小学生を拉致した上、集団強姦した強姦致傷および逮捕監禁事件である。
←ウィキより。

12歳。
小学生女児を拉致監禁暴行強姦するというひどい事件だったのです。

沖縄県警察は、数々の証拠から海兵隊員の事件への関与は明らかであるとして、同年9月7日に逮捕状の発付を請求した。
しかし、日米地位協定によれば、被疑者がアメリカ兵の場合、その身柄がアメリカ側の手中にあるとき、起訴されるまでは、アメリカが被疑者の拘禁を引き続き行うこととされていた。
したがって、たとえ逮捕状が発付されても、日本側捜査当局は起訴前には逮捕状を執行できず、被疑者の身柄を拘束して取調べるという実効的な捜査手段を採ることもできなかった。
←ウィキより。

被疑者の身柄を拘束し、事情聴取を行うことが出来ないわけです。
更に言えば被疑者がそのまま帰国した場合、日本は何もできなくなってしまうのです。
その一例が、キャサリン・ジェーン・フィッシャー強姦事件です。



2002年4月横須賀で、空母「キティホーク」乗組員の在日米軍兵ブローク・T・ディーンズが在日オーストラリア人女性キャサリン・ジェーン・フィッシャーを強姦した。
ディーンズは逮捕される前になぜか“名誉除隊”で帰国し逃走した。
依然刑事処分を受けていない。
ウィキより。

最近だと、似非愛国者の田母神何某がセカンドレイプツイートを行った事件がありました。

事件は2012年10月16日、沖縄県で米軍兵士2人が女性に性的暴行を加え、首にけがをさせたというものだ。
報道によると、2人は宿泊先のホテルの近くで酒を飲んだあと、帰宅途中の女性に声をかけ、無視されて背後から襲いかかり犯行に及んだという。
J-CASTニュースより

この事件に対して田母神何某は間違った情報と記憶をもとにゴミのようなツイートをしています。
詳しくはJ-CASTニュースでご確認を。

このように日本国にありながら米軍側に特別な特権を付与した不平等な地位協定。
本来、日本国が独立した国であるなら、政府は米国と話し合い大使館以外は日本国とした協定に変えるべきなのです。
ところが米国の属国であり奴隷である日本国政府は協定の見直しではなく、運用の改善を取り決めたのです。←米兵が12歳の少女を暴行強姦したのちのことです。
その内容は、殺人や強姦といった重大な犯罪に関しては、起訴前の身柄引き渡しに対して「好意的な考慮」をする、というものでした。
つまり何も変わっていないも同然なのです。

そして、2002年11月2日に起きた「沖縄米兵強制わいせつ未遂事件」において、米軍は身柄引き渡しを拒否したのです。

12月3日、那覇警察は逮捕状を発布した。
これを受けて日本政府はアメリカに対して少佐の身柄を即刻引き渡すよう請求したが、アメリカは日米地位協定を根拠に、起訴前の引渡しに応じなかった。
同協定は17条5(c)において合衆国軍隊の被疑者は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、公訴が提起されるまでの間引き続き合衆国が管理するとしている。
加えて、1995年に起きた米兵による少女強姦事件を受けて、特定の場合についてはその引渡しに「好意的な考慮」(sympathetic consideration)を払うという日米合意がなされていた。
12月19日、那覇警察が少佐を起訴した。
翌日、米軍は容疑者の身柄を日本警察へ引渡した。
←ウィキより。

結局好意的な配慮は一切なされず、協定通り起訴後に身柄引き渡しが行われたのでした。
つまり米兵は沖縄や基地のある周辺では強盗だろうが強姦だろがやりたい放題なのです。
地位協定を改定しない限り、犯罪を犯しても基地に逃げ込めばなかったことに出来る可能性が高い現実は、今もなお変わっていないのです。
「好意的な考慮」などはその場限りのおざなりな話で、米軍側に好意的な考慮などする気は全くないのです。

今回の「ルージュ 硝子の太陽」ではこの日米地位協定が絡んできます。
話はある男の悪夢から始まります。

男は酔っ払い、ずぶ濡れになりながら辿り着いた某所スナックでウィスキーをがぶ飲みしていた。
どのくらいその店にいたか記憶も定かではない。
店を出て再び雨の中を歩き始めた。
道が判らず困っていた時、一人の女性の姿が目に付いた。
道を聞こうとしたが女性はそれを無視した。
何様のつもりだ。
男は執拗に女性を追いかけた。
女性が自宅のドアを開けた途端、男も中に入ってきた。
男は何かに憑りつかれたように一家を惨殺し始めた。
殴り、蹴り、思いつく限りの暴行を加えた。
父親。
母親。
妹。
そして男を無視した女性。
強姦し殺した。
いや、気付いた時には全員死んでいた。
男はベレッタを取り出し、それぞれの股間から脳天に向けで引き金を引いた。

現在。
姫川玲子は「祖師谷母子殺人事件」あるいは「地下アイドル殺人事件」とマスコミが書きたてる、母子三人が惨殺された殺人事件を捜査していた。
三人の遺体は一室にきれいに並べられていた。
しかし遺体そのものは決してきれいではなかった。
最初に殺されたのは長女。
地下アイドルをやっていた長女はその日、アイドルとしての仕事もバイトもなく休みだったようだ。
そして在宅しているところへ侵入してきた犯人によって殺害されたようだ。
ナイフによる刺殺。
刺されただけではなく、殴打、首への圧迫、擦過傷などの痕跡が見られた。
次に殺されたのが母親である。
仕事から帰った母親は現場にまだ残っていた犯人と遭遇したものと思われた。
首を切られた結果、失血死している。
最後に殺されたのは弟の高志である。
母親同様に帰宅時にまだ残っていた犯人と遭遇し殺害されたものと思われる。
長女同様に打撲痕、圧痕、擦過傷、切創とボロボロの状態であった。
死因は出血性ショック死。

犯人は別々の場所で一家を殺害したにもかかわらず、全員を1階の和室にうつ伏せに並べ、それぞれの股間に銃弾を数発づつ撃ち込んでいた。
更にはその銃弾を撃ち込んだ創洞内に手を入れて、内臓を弄んでいたと考えられるのだった。

既に事件発生から三か月が経過していた。
要は暗礁に乗り上げている状態だった。
現場百回などという言葉がある。
相方の鈴井とともに玲子は現場に向かった。
現場で鈴井と話をしていた時だった。
何者かが角を曲がって姿を現した。
玲子たちを見た途端、男は踵を返して足早に離れていった。
行き詰った捜査線上に現れた、初めての不審者だった。
男の名前は意外と早く解った。
上岡慎介。

誉田小説のファンならピンと来るのではないでしょうか。
歌舞伎町セブン、歌舞伎町ダムドで登場するペンゴロ、フリージャーナリストの男です。
誉田小説のファンなら誰もが知っていることですが、彼の作品は全て同じ世界観で統一されています。
各小説の出来事は全てリンクしているのです。
登場するヤクザなどの個人名や組織名などを共有し、事件発生の時系列は曜日単位で齟齬が生じないように年表でまとめられているのです。
つまり姫川玲子は「ジウ」の事件を知っているし、東弘樹は姫川と同じ警察組織に属しているのです。
今この世界観が、それぞれ別々に育ってきた登場人物たちが、一つの世界にまとまろうとしています。
今回は「ジウ」及び「歌舞伎町シリーズ」にかかわってきた東弘樹警部補だけではなく、「歌舞伎町シリーズ」(ジウサーガシリーズ)でお馴染みの、バー「エポ」のマスターである陣内などが絡んできます。
しかもガンテツこと勝俣と。
でもまぁ、絡むと言っても出版社も違う世界です。
そんなにがっつりとは絡めません。
でも出版社というゲスな商売人は儲かれば何でもありです。



これなんかただのオカルト本なんですが、姫川玲子シリーズなどの刑事もの警察ものが好きな読者層を取り込もうとして、詐欺まがいの煽りを帯につけていました。
結果、読んでいて途中から荒唐無稽な展開となった、とか、がっかり、などと言った批判が噴出した作品です。

興信所を営む曽根崎栄治の前に、女子高生・民代が現れる。
十九年前に突然姿を消した恋人・真弓が産んだ栄治の娘だと主張する彼女は、二人の人物を探して欲しいと依頼する。
半信半疑ながら栄治が調査を進めるうち、民代は、調査対象者のどちらかが世間を騒がす残虐な連続監禁殺人事件の犯人だと言いだし…。
この子は一体、何者なのか。
犯人の正体は何なのか。


あるいは、

拉致監禁。両手親指切断。強姦、そして扼殺。残虐な連続殺人事件が世間を賑わせる中、「私犯人を知ってる」という女子高生が探偵の前に現れ…。

なんて書かれたら、誰だって何か本格的なミステリーじゃないか、と思ってしまいますよね。
出版社側の言い訳としたら、

渾身の恋愛ホラーサスペンス。
ノンストップ恋愛ホラーサスペンス!


と最後に書いてあるから詐欺じゃないってことになるのでしょうけど、これ、ホラーでもないんですよね。
ただのオカルト且つ駄作です。
最低限出版社が、
悪意を持った霊魂が体を乗り移り残虐な犯罪を繰り返す。
同じように転生した女子高生がその悪行を止めようとする。
オカルト転生物語。
とかって煽りに書いておけば、意外と面白かった程度には評価してもらえたかもしれませんけどね。

今回も

〈ジウ〉サーガ×姫川玲子 誉田哲也の二大人気シリーズが、衝撃のコラボレーション、待望の文庫化!

てな煽りがつけられていたりしますが、本格的に絡ませるとしたら、どちらかがどちらかの世界を飲み込んでしまうしかないんですよ。
でもそれぞれ出版社が違うわけですから最初から無理な話なのです。
コラボしてうれしいのは出版社。
同じ話をそれぞれのサイドから描けば双方儲かるじゃん、ってことですね。

では姫川玲子シリーズ側では祖師谷殺人事件が描かれていますが、ジウサーガシリーズ側では何が描かれるのでしょうか?
読んでいないので想像でしかありませんが、たぶん上岡慎介殺人事件に絡む内容なのでしょう。
そして本書では語られなかった左翼のフィクサーと反米デモや米軍基地絡みの何か、が描かれるのだろうと思われます。
当然ながら歌舞伎町セブンと東警部補を主役として。

と、サラッと書いてしまいましたが、上岡慎介は他殺死体で発見されました。

その朝、勝俣はラーメンを食べていた。
携帯が鳴った。
「代々木で殺しです。」
まだ捜査本部設置前である。
勝俣は現場に向かい、鑑識が発見したUSBメモリーを取り上げた。
勝俣が人を出し抜けるのは、自分だけが知る情報を確保しているからだ。
証拠品であるUSBメモリーには何が入っているのか。
正式に捜査本部入りした勝俣は毎日相方を撒き、USBメモリーと格闘していた。

姫川玲子は祖師谷一家殺人事件で初めて浮上した不審者が死体で発見されてしまい、捜査本部が設置されてしまったことから、うかつに上岡慎介のことを調べることが出来なくなってしまっていた。

上岡慎介殺害事件は目撃証言とカメラ映像からいくつかのことが判っていた。
現場は斉藤雄介名義で借りられたマンスリーマンション。
斉藤雄介は偽名であると考えられるが電話番号だけは上岡名義のものが記載されていた。
早朝、斉藤雄介とを名乗る男が住んでいた部屋に、上岡が訪ねてきた。
二人は顔見知りだったのか、自称斉藤雄介が上岡を招き入れている。
その後上岡は殺害され、三人の覆面をした男たちに抱えられるように男が連れだされてきた。
唯一覆面をしていない男が自称斉藤雄介であろうことは容易に察しが付く。
自力では歩けない様子の斉藤は、三人の覆面男と共に車で現場を去って行った。

祖師谷一家殺人事件で初めて浮上した不審者、上岡慎介。
彼はフリーのジャーナリストで歌舞伎町界隈にかなり精通していたようだ。
ヤクザ、麻薬取引、そう言った暗部に精通していたということはその絡みで殺されたのだろうか。
しかしそのようなジャーナリスト、いやペンゴロがなぜ祖師谷一家殺人事件に関係しているのか。
上岡慎介は祖師谷の現場周辺で聞き込みをしていたらしい。
殺人事件当日、白人男性を目撃していなかったか、と。
具体的に白人男性と限定して聞きこんでいた。
何を根拠にそのような聞き込みをしていたのか。

祖師谷一家殺人事件は完全に行き詰っていた。
捜査本部も縮小傾向だ。
逆に上岡慎介殺人事件は発生したばかり。
つまり最もホットな現場と言うことだ。
人手不足。
しかも上岡の自宅から押収したPCには大量の原稿が保存されていた。
それらを読み解くだけでも膨大な作業量となる。
祖師谷一家殺人事件の捜査本部を管理している林トンカツ統括の元に今泉管理官と山内係長が現れた。
話は姫川他2名、計3名を上岡慎介殺人事件の現場に編入させるというものだった。
どうせ姫川のことだ。
捜査するなと言っても上岡のことを調べるだろう。
例えば今は勝俣の部下になった葉山あたりから。
苦情が来る前に、逆に向こうへ応援で行かせた方が早い。
それが二人の判断だった。

上岡慎介殺人事件の本部で姫川はPCに残っていた膨大な量の原稿と格闘していた。
そこで発見された一つの文章が、祖師谷一家殺人事件に新たな光を当てることとなる。
しかしそれは勝俣が仕込んだものだった。

ここから話は一気に展開していきます。
既に時効を迎えて捜査資料の無いはずの未解決事件と今回の祖師谷一家殺人事件を繋ぐものとは何か。

誉田ファンはもう単行本で読んでいることでしょう。
でもまだ読んでないよっていう方がいらっしゃったら、一言。
やっぱり誉田哲也は読ませる力が凄いねってことです。
ちなみに林トンカツと言ったのは私じゃなくて井岡ですから。
凄惨な事件。
描写。
その合間合間で挟まれるコント。
茶番。
その緩急が生きているので一気に読ませてしまう力が生まれているのでしょう。
まぁ政治的な見解はともかく、内容は面白かったです。

【誉田哲也著】

2018-06-29(Fri)

【小野不由美】営繕かるかや怪異譚【ホラー】

先日、と言っても結構前ですが、hontoというサイトからメールが届いておりました。
小野不由美さんの「営繕かるかや怪異譚」が角川文庫から出版される、と。
そこで駅前の本屋に立ち寄った時に購入したのがこちらです。



一応ホラー系になるのでしょうが、主目的はそこにはありません。
ただホラーテイストである、というだけです。

六編の短編で出来た本です。
解説は宮部みゆきさん。

営繕とは建物を新築・修繕することである。
と解説で宮部みゆきさんは書いておられます。
私なんぞは営繕の繕うという文字に引っ張られて、修繕しか頭にありませんでした。
なるほど、新築もいうのか、と初めて知った次第です。

かるかや。
かるかんやではありません。



これはかるかん。

かるかや。
刈萱からとられた名前でしょうか。

小野不由美さんは後にコミック化及びアニメ化された「ゴーストハント」の原作である「悪霊シリーズ」や、近年では映画化もされた「残穢」が良く知られているかと思います。
私はファンタジーはほぼ読まないので内容は不明ですが「十二国記」は人気のシリーズのようです。

「東京異聞」「屍鬼」「黒祠の島」「鬼談百景」「残穢」は読んでおります。
「ゴーストハント」はコミックで読みました。
基本的にホラーテイストな作品が多いですね。
この「営繕かるかや怪異譚」も怪異譚と書かれている通り、不思議な話で構成されています。
最初の「奥庭より」で一気に不思議な世界へ引きずり込まれてしまいます。

叔母から受け継いだ古い家。
ふすまを塞ぐように廊下に置かれたタンス。
タンスの中のものを出し入れするにも狭い廊下に置かれているのでうまくいかない。
なぜそのような不便な場所にタンスを置いているのか。

タンスで塞がれたふすまが開くのである。
閉めても閉めても開くのである。
ある日祥子はそのふすまの向こうからカリカリカリコリと何かを引っ掻くような音を聞く。
何かがいる。
しかし理論的に考えればふすまが開くのは傾きや建てつけの悪さからではないのか。
音は何か小動物が住み着いてしまっているからではないのか。
とも考えられる。
家を受け継いだ祥子は叔母の遺品の年賀状から隅田という工務店を見つけ、ふすまが開く原因を直してもらおうと考える。
傾きなのか建てつけが悪いのか…。

やって来た隅田は叔母が健在な頃から付き合いのある業者だった。
何やら叔母もふすまの奥の部屋を気にして色々と造作を頼んでいたようだ。

何が問題なのか。
なぜふすまは開くのか。
叔母は何をしようとしていたのか。
なぜふすまの前を塞ぐようにタンスが置かれることになったのか。

じわじわと怖さが寄ってきます。
しかしこの話に霊能力者は登場しません。
ただの営繕屋が出てくるだけです。

隅田に紹介されてやって来たのが営繕を生業とする大工、かるかやの尾端(おばな)と名乗る青年だった。
彼はあくまでも大工である。
何かを除霊したりするわけではない。
ただ、家というものは年月を経るごとに何かしら疵がついて行くものである。
良い疵もあれば悪い疵もある。
背比べの時に出来る柱の疵のように積極的に付ける疵だってある。
残していい疵はそのまま傷まないように手当てして残す。
残すと問題がありそうな疵は修繕して問題が残らないようにする。
ただそれだけの大工ではあるのだが、不思議とこうした怪異に関係する営繕をやることが多いらしい。

かるかやの尾端が出てくるのはかなり話が進んでからのことです。
その前段階で怪異に引きずり込まれていた私はすっかりタイトルの「営繕かるかや」のことなんか忘れておりました。
尾端が登場して「ああ、そうだった。営繕かるかや怪異譚だった。この人が主人公だった。」と思い出したくらいなのです。

六編とも同じ街の中の出来事です。
お城が見える城下町。
土地が低いところのある旧市街と郊外型の新市街。
事件が起きるのは古い町並みが残る旧市街です。

一番怖かったのは「雨の鈴」。
ホラーテイスト全開です。
全開なのに何かしら悲しい。
いや哀しい。
「残穢」もそうでしたが、各編に登場する主人公たち(尾端以外の主人公たちです)が比較的冷静で理論的に考える人なので描写は怖いのに落ち着いて読んでいることが出来ます。
無駄に残酷描写で怖がらせる作家とかがいますが、全く正反対のじんわりと迫りくる恐怖を楽しめます。
未読の方は是非お読みください。

【小野不由美著】

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自分の所有している本、購入した本を読んだら記録するだけの日記です。
ミステリーの枠に関係なく読みますのであしからず。

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